アガベは同じ品種でも、それぞれ性格が違う
どんなきっかけで植物の育成を始めたのですか?
コロナ禍以降、家にいることが多く、Instagramをよく見るようになりました。
そこで目にした友人のアガベのホリダを見て興味を持ち始めました。
アガベの育成において特に気をつけていることはありますか?育成方法や目指すところがあればお教えください
同じ品種のアガベであってもそれぞれ性格が違います。
葉の開き方や開くスピードは主に光量が関係していて、それに応じて照射距離や水量を調整しないといけません。
これは、毎日観察しないとわからないことです。
この観察を怠れば良い結果になりません。
光、水、風、土の4つのポイントは皆さんご存知かと思います。
私は、液体肥料を4種類使っていますが、同じ液体肥料を繰り返して使うのではなく、交互に使用しています。
交互に使うことによって慣れを回避して刺激を与えるようにしています。
また、水やりはスケジュールで管理していますが、
朝から昼間は太陽に当て水を吸わせて動きを多くします。
夜はライトにしています。
室内育成のアガベにはライトを1日14時間くらい当てています。
光が強いのは良いのですが、強すぎると葉が尖るように伸びるので気をつけないといけません。
アガベに合ったバランスがあるので、アガベの性質にあった光量を当てるようにしています。
光の測定は照度計を使用しています。
太陽の光量を測定して、それを参考にしてから、さらにアガベの性質に合わせました。
一番大事なポイントは、成長点である芒の時点で葉の形が決まることです。
芒が長くなってしまうと葉が縦長に展開してしまい、芒が太り丸くなればなるほど、栄養が密集して短葉になり鋸歯も強くなります。
芒が長くなってしまうと元に戻りません。
元に戻すには一度光を弱くして、水やりを増やして芒を短い状態にできますが、一度展開してしまった葉は短くできませんのでバランスを崩してしまいます。
失敗した葉が枯れるまでは形が崩れたままになってしまいますので、一からやり直しと同じ状態になってしまいます。
また、日々、水やりのスケジュールをメモしたり、照度計を使用したりして、光量、熱量を頭に入れ成育の状態を勉強しながら成育していけば失敗率が低くなります。
植物を育成されていて失敗したと思ったことはありますか?
失敗談と言えば、始めたばかりの頃に葉焼けしたり、水やりをしても風や光が弱くて形を崩したり腐らせたりしたこともあります。
最近では、鉢の植え替えで環境が変わったことによって形を崩してしまったり、気持ちを入れすぎて子株に光を当てすぎて焼いてしまったりしました。
これもアガベの性質とのバランスのミスです。
アガベは愛情を与えた分、それに応えてくれる
育成ライトはどのような目的で使っていますか?
太陽光のメリットは、電気代がかからないところと(笑)、
水を多く吸収してくれ成長が早いところです。
ただ太陽は毎日出ているわけではありませんし、昼間の太陽だけでは足りないこともあります。太陽だけだと大味な形になってしまうので、
ライトで整えるというようなイメージで使っています。
育成ライトは太陽とは違って光の量が一定ですから、綺麗な形に育つことが最大のメリットです。
また、育成ライトは光量が一定なので、光量が強すぎて焼けたり、LEDなので熱が少なく葉焼けの心配がないのも大きなメリットです。
また、アガベを室内で育てることができるので病気や害虫などのリスクが格段に低くなり、安全に育てることができます。
初めて使用した育成ライトはBARRELの製品ですが、アガベの特徴に合わせた光の調整が取りやすいです。
育成において重要なのは、アガベの株に合わせて育成ライトの性能を選択、調整をすることです。
アガベの株ごとの特長(アガベの個体によって育成方法が変わる)と育成ライトの光の強さなどの特長を熟知することが大切です。

育成ライトを使う上での注意点はありますか?
私は20wの育成ライトを使用していますが、注意点があるとすれば照射距離をアガベの特徴に合わせて使うことです。
照射距離が近すぎる場合は、葉が上に向かって伸びる場合や葉焼けの恐れがあるので、株から15cm以上を目安にしています。
育成ライトを株によって使い分けていますか?
照射距離、反射版の有無等、照射距離はアガベの大きさ、高さによって調整しています。
すべてのアガベのサイズや高さが均一ではないですし、各アガベの特徴があるので拡張リフレクターを使って調整しています。
また、私は特別大きなアガベを持っているので、1つのアガベに2つのライトを使っています。
トップが焼けないように拡散リフレクターを使用しています。
強い光を当てたいけど、葉焼けの恐れがあったり、トップだけ集中して光が当たったりするなど、全体に光を当てたい場合に拡散リフレクターは便利かと思います。
最後に植物好きの方や、これからアガベの育成を始めたいという方にメッセージをお願いします。
アガベはたくさんの種類があり、自分の好みに合ったアガベを見つけることができます。それぞれ性質も見た目も違います。
また育成方法によって違ってきます。アガベに「適当」は禁物です。
丁寧にやることです。毎日アガベと向き合うことがすごく大切です。
オーナーの性格と連動するので、すべてオーナー次第です。
アガベは愛情を与えた分、それに応えてくれます。
面倒くさいと思うこともたくさんありますが、私自身、つい手を抜いてしまって後悔したことが何度もあります。
努力した分、アガベは応えてくれます。
アガベの育成は決して安価な趣味ではありませんが、綺麗な姿、カッコいい姿を毎日見せてくれ、感動を与えてくれます。
アガベは子株を出してくれるので増やしていくことも可能です。
私は子株の将来を想像しながら楽しんで育てています。
私にとって植物は今や生活の一部であり、大切な宝物です。
皆さんも毎日楽しんでアガベを育ててください。

ありがとうございました。